「猫を撫でていると気持ちが落ち着く」「つらい時に猫がそばにいてくれた」このような猫の癒し効果を実感している飼い主は多いでしょう。
実はこのような癒しの力は、単なる気分の問題ではありません。実際に効果が証明されているのです。人と動物のふれあいによって、身体的・精神的な健康を促進することを目的とした活動をアニマルセラピーと呼びます。
この記事では、NPO法人日本アニマルセラピーの報告をもとに、アニマルセラピーの仕組みや効果をご紹介します。 もともとは犬を中心に発展してきた分野で、今回の報告も犬の事例です。しかし、猫にも同様の効果が期待されます。猫との暮らしを通じて、もっと健康になる方法を考えてみましょう。
参考:大村敬(2022)「アニマルセラピーで、人と犬が健康で幸せに生きる社会に」日本義肢装具学会誌 Vol.38 No.4
アニマルセラピーとは
アニマルセラピーは、動物とのふれあいを通して、心と体を健康に導く活動です。正式名称は「動物介在介入(Animal Assisted Interventions:AAI)」と言います。また、以下の3つに分類されます。
動物介在活動(AAA)
高齢者施設や福祉施設で行われ、癒しや楽しさを提供し、生活の質(QOL)を向上させる活動です。
動物介在療法(AAT)
医療現場で、治療目的で行われるものを指します。たとえば、うつ症状の緩和、リハビリへの動機づけなどです。
動物介在教育(AAE)
子どもたちに「命の大切さ」や「思いやり」を教えるために学校などで実施されます。
犬によるアニマルセラピーは世界的に普及していますが、猫の優しい性格や独特のリラックス効果も注目されています。
なぜ動物が心と体に効くのか

動物とふれあうと、人の体にさまざまな効果があります。具体的に何が起きているのでしょうか。
幸せホルモン「オキシトシン」
動物を撫でたり、見つめたりすると、脳内でオキシトシンが分泌されます。
オキシトシンは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、心を落ち着け、幸福感を高める作用があります。
撫でろー! 人のためでもあるんだぞー!
セロトニン・エンドルフィン・ドーパミン
以下のホルモンの分泌により、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、心身がリラックス状態になります。
- セロトニン:気分を安定させ、ストレスを軽減
- エンドルフィン:痛みを和らげ、安心感をもたらす
- ドーパミン:やる気や楽しさを引き出す
一緒にリラックスしてあげるよー
犬によるアニマルセラピーの事例と猫への応用
NPO法人日本アニマルセラピー協会による報告では、犬によるアニマルセラピーの効果が詳細に紹介されています。
- 血圧・心拍数の低下
- うつ症状の改善
- 高齢者の認知症予防
- 孤独感の減少
これらは犬に限らず、猫にも応用できるものだと考えられます。特に猫のゴロゴロ音には、25~150Hzの低周波振動が人の自律神経を整える効果があるといわれています。猫と暮らしていれば、自宅で癒しのアニマルセラピーを実践できるのかもしれません。
WHOが定義する「健康」と猫セラピー
世界保健機関(WHO)は、健康を「身体的、精神的、社会的に完全な状態」と定義しています。
動物と暮らすことで、この3つの要素を促進できる可能性があります。
身体的な健康
動物との遊びや犬の散歩で軽い運動習慣を得られる
血圧が安定し、免疫力がアップする
精神的な健康
ストレスの軽減、リラックス効果を得られる
不安や孤独感の解消
社会的な健康
動物好き同士で交流できる
家族間の会話やコミュニケーションが促進される
実生活でできるアニマルセラピー

猫との生活でアニマルセラピー効果を得るために、以下のようなことを積極的に行うのが良いと考えられます。
毎日スキンシップをとる
猫を撫でる、ブラッシングするなど、猫が喜ぶ触れ合いを行いましょう。人の健康に効果があるだけでなく、猫の健康にもポジティブに働きます。
ちゃんと毎日撫でてよ。ブラッシングも良いよ
猫のペースを尊重する
嫌がっているときは無理に抱っこしたり、撫でたり触ったりしないことが大切です。猫が嫌がることをしてしまうと、猫との信頼関係を壊してしまい、ストレスを与えることにもなります。人のわがままで猫に悪影響を及ぼしてしまうのは、アニマルセラピーの本志ではありません。
怖いのやだよ…
環境を整える
静かで安心できる場所を用意して、猫が快適に過ごせる環境を整えましょう。快適なベッドやキャットタワーがおすすめです。
ふかふかベッドがいいな
遊びを取り入れる
猫じゃらしなどのおもちゃで一緒に楽しく遊べると効果的です。猫のリフレッシュやリラックスにも良く、人とのコミュニケーションも促進されます。
猫じゃらし振られるとついつい遊んじゃうから楽しいよね
猫と人の絆がもたらす幸福感
アリゾナ州立大学の研究によると、犬だけでなく猫ともオキシトシンを介した絆が形成されることが確認されています。 猫の優しいまなざしや柔らかな被毛に触れると、私たちの脳は「安心・安全」を感じるのです。
猫と暮らすことは、心を癒し、体を元気にし、社会的なつながりも広げます。これは単なる癒しを超えた健康法でもあります。猫との生活を大切にしながら、お互いが幸せになれる関係を築きましょう。



