猫を複数飼うことを「多頭飼い」と言います。多頭飼いでは、猫同士が遊んでいる姿を楽しめたり、留守番をしてもらう時にも猫たちの寂しさが軽減できたりするという魅力があります。
しかし、猫の多頭飼いには慎重な準備と計画が必要です。適切な環境を整えることで、猫たちが快適に共存し、飼い主も安心して多頭飼いができます。この記事では、多頭飼いを始めるための準備について説明します。
多頭飼いの前に検討すべきこと
猫の性格と相性
新しい猫を迎える前に、今一緒に生活している猫の性格を見直しましょう。社交的な猫もいれば、一人でいることを好む猫もいます。多頭飼いによって先住猫が不安になったり、ストレスを感じてしまってはいけません。猫の性格を把握して、新しい猫との相性を考えることが重要です。
年齢や性別、性格の違いによって、猫同士の相性は異なります。新しい猫を迎える前に、相性について獣医師さんやペットショップのスタッフと相談するのもおすすめです。
保護猫施設から譲渡を受ける場合には、先住猫との相性を確かめるためのトライアル期間を設けられることもあります。一緒に生活する猫が増えるのは、先住猫にとっても大きな出来事です。慎重に決めてください。
われらみたいに血縁がある猫同士は仲良くなりやすい傾向があるらしいよ
プライベートなスペースと共有スペースの設計
多頭飼いをする際には、猫それぞれが十分なプライベートスペースを確保できるようにしてください。猫は縄張り意識が強いため、それぞれが安心して過ごせる場所が必要です。
それと同時に、共有スペースも必要です。キャットタワーや窓辺のベッドなど、猫が一緒にリラックスできる共有スペースを用意しましょう。また、場所を巡って喧嘩にならないように、余裕を持った設置も大切です。
キャットタワーの一番高いところは取り合いするぞ
時間と経済的負担の増加
多頭飼いでは、すべての猫に十分な注意を払うことが必要です。それぞれの猫と遊んだり、健康チェックをする時間を確保できるか、事前に考えましょう。猫は個々に異なる性格や、注意して観察すべき体の箇所などがあります。複数の猫をしっかりケアするためには、その分だけ時間がかかるのです。
経済的な負担が増えることも考えておかなければなりません。猫の数が増えると、食事、トイレ用品、医療費などの費用も増加します。複数の猫を適切にケアできる経済的な準備が整っているかを確認しましょう。
新しい猫を迎える手順

健康状態の確認
新しい猫を迎える前に、獣医師さんの健康診断を受けさせましょう。特に、感染症や寄生虫のチェックが大切です。先住猫がリスクを負うことがないように、きちんとした検査が必要です。
ワクチンについても同様です。新しい猫が必要なワクチンを受けていることを確認しましょう。
新しい猫を離して慣れさせる
新しい猫を迎え入れる際は、最初の数日は先住猫から隔離しておくことがおすすめです。新しい猫を環境に慣れさせて、感じるストレスをできるだけ少なくするためです。
双方の猫をプライベートな空間に隔離し、新しい猫を新しい環境に慣れさせるとともに、お互いの存在を感じられるようにします。
新しい猫は、環境が変わると緊張してストレスを感じています。まずは、家の中に静かで落ち着いたスペースを用意しましょう。専用の部屋を用意できれば理想的ですが、部屋の中にであっても、新しい猫が一人でくつろげるスペースを整えてください。ベッドやトイレ、食器を設置して、猫がリラックスできるようにします。
また、隠れ場所を作ることも大切です。猫はストレスを感じると隠れたがる習性があります。箱やキャットトンネルなど、猫が隠れられる場所をいくつか用意しておくと、逃げ込んで安心できるスペースになります。
猫同士がお互いの匂いに慣れるために、猫用のブランケットやタオルを交換するのも効果的です。直接接触しなくても、互いに存在を意識し、慣れることができます。
また、先住猫も新しい猫が来ると不安やストレスを感じます。数日間は離しておくことで、新しい猫の匂いや気配に徐々に慣れることができます。
少しずつ接触させる
先住猫が新しい猫の存在に慣れて、興味を示すようになったら、少しずつ近づけます。最初は新しい猫を隔離しているケージ越しや、部屋の入り口から、見せたり匂いを嗅がせたりしましょう。
その距離を徐々に縮めていって、緊張感を取り除きながら対面させます。最初は短時間の視覚的接触、お互いに姿を見るだけにしておきましょう。お互いの存在を認識して、警戒感をなくすための段階です。
また、視覚的接触中に、ポジティブな経験をすることも有効です。猫におやつを与えたり、撫でて安心させたりしましょう。互いに良い印象を持つようにします。
お互いを見ても唸ったりシャーしたりしなくなったら、直接対面する段階に移ります。初めての直接対面は、飼い主がしっかりと見ている状態で行いましょう。
最初は数分程度にとどめておいて、時間を徐々に延ばしていきます。直接対面したときに猫が緊張したり、攻撃的な行動を見せた場合は、すぐに中止して、少しずつ慣らしていきましょう。
できるだけスムーズに関係を構築できるように、慎重に進めることが大切です。
最初は怖かったよ。でっかい猫を見たの初めてだったし。
住環境を整備する
猫は高いところに上ると安心できます。そのため、キャットタワーや登れる棚を設置するのがおすすめです。多頭飼いする際には、場所の取り合いや縄張り争いで喧嘩をさせないために、複数の居場所が必要です。また、縦の空間を活用することで、狭いスペースでも猫たちが快適に過ごせます。
トイレについては、猫の数より1つ多く用意するのが理想的とされています。トイレを巡る争いを防ぎ、他の猫のおしっこやうんちが残っているトイレを使わなくて済むようにするためです。衛生的にも大切ですが、他の猫の匂いが強い場所では排泄できない猫もいますので、トイレを我慢して病気になることを防ぐためにも重要です。
食事用の食器は、猫ごとに専用のものを用意しましょう。自分専用の食器と食事場所を覚えさせることは、食事量のコントロールにも欠かせません。
もし食事中に他の猫から干渉されるのを嫌う猫の場合には、個別の食事スペースが必要です。落ち着いて食べられる環境を整えてください。
多頭飼いを始めた後の注意点

猫同士の関係の観察
多頭飼いを始めた直後は、猫同士の関係を慎重に観察しましょう。互いに攻撃的な行動を見せる場合や、猫がストレスを感じている兆候が見られたら、再度隔離し、ゆっくりと再接触を進めます。
ストレスの兆候には、過剰なグルーミング、食欲不振などがあります。猫が慣れるまでには時間がかかることもあります。焦らずに進めてください。
ポジティブな体験を与える
新しい猫と他のペットの関係を良好にするためには、ポジティブな体験を重ねることが大切です。
新しい猫と他のペットが一緒にいる時間をポジティブな体験にするために、遊びやご褒美が活用できます。おもちゃで一緒に遊んだり、一緒にいるときにおやつを与えることが効果的です。楽しい時間を共有することで、猫同士や他のペットといることがストレスでなくなっていきます。
もし新しい猫や先住ペットが不安やストレスを感じた場合は、無理に一緒にさせるのをやめ、少し時間を置くことが大切です。焦らず、ペースを猫に合わせて進めましょう。
日常の健康チェック
それぞれの猫を個別にケアする時間を作ってください。すべての猫に愛情を注ぐことで、猫同士の嫉妬やストレスを減らし、飼い主との絆を深めることができます。
また、定期的に獣医師さんの診察を受けることもおすすめです。問題行動やストレスの兆候が見られた際にも相談できます。
人間との関係作り
猫同士の関係作りも大切ですが、新しい猫と人との関係作りも同じく大切です。
優しく丁寧に接する
新しい猫に安心感を与えるためには、最初の接し方が非常に重要です。新しい猫が緊張している場合は、無理に触ったり抱き上げたりせず、猫のペースで慣れてもらいましょう。猫が自ら近づいてきたときに、優しく撫でる程度にとどめることで、信頼関係を築きやすくなります。
猫は音や声に敏感なため、優しい声で話しかけることを心がけます。安心感を与えながら、慣れてもらうことで距離が近づきます。
また、名前を呼びながら話しかけることで、猫は自分の名前を認識することが可能です。そして、飼い主の存在をより身近に感じるようになります。
猫に合わせた接し方をする
それぞれの猫の性格や個性に合わせた接し方をすることが重要です。猫は個性豊かなので、すぐに馴染む猫もいれば、時間をかけて慣れる猫もいます。焦らず、猫のペースで距離を縮めることが大切です。信頼関係ができれば、猫は徐々にリラックスし、家族の一員として過ごせるようになります。
猫が慣れてきたら、遊びを通じて飼い主との絆を深めましょう。おもちゃを使って楽しい時間を共有することで、猫が自ら飼い主に近づくよう促せます。
まとめ
多頭飼いによって、猫たちにとっても飼い主にとっても、生活の質を向上させられます。ただし、慎重な準備と計画が求められるものでもあります。
新しい猫を迎える際には、慎重な計画と段階的に慣れさせることが必要です。多頭飼いの生活が安定するまで、慎重に猫同士の関係性を観察して、新しい猫と先住猫が快適に共存できる環境を整えましょう。
猫の性格や猫同士の相性、スペースの確保、健康管理などを十分に考慮し、適切な環境を整えることが必要です。猫たちが快適に共存できるようにして、猫たちとの楽しい生活を送ってください。


