猫の行動

猫が舌を出す理由。可愛い仕草というだけではない、隠された意味

猫がぺろっと舌を出している姿はとても可愛くて、見ているだけで心が和みます。「舌ちょろ」と言われることもある、猫の人気の仕草のひとつです。

しかし、可愛いなあと微笑むだけで終わらせてしまってはいけない場合があるかもしれません。猫が舌を出している理由にはたくさんの種類があり、中には病気のサインである可能性も含まれているためです。

この記事では、猫が舌を出す行動について、日常的で心配のいらない例と、注意が必要な異常行動に含まれる例の両面を紹介します。猫は舌を出して何かを伝えようとしているのかもしれません。もっと理解できるようになるために、参考になれば幸いです。

心配いらない日常的な猫が舌を出す理由

ときどき舌はしまい忘れます

あれアホっぽく見えるぞ

グルーミングしてると毛に舌が絡まってわやわやします…

てへぺろー

リラックスや睡眠中の舌出しは「安心の証」

猫が完全にくつろいでいるとき、顔の筋肉が緩んで舌が自然に出たままになることがあります。これは特に深い睡眠中や、飼い主さんのそばで甘えているときなど、安心しきっているタイミングでよく見られます。

猫はもともと、捕食者であると同時に被食者でもありました。そのため警戒心が強く、常に周囲に目を光らせています。そんな本能を持つ猫が無防備に舌を出すというのは、絶対的な安心感を得ている証拠と言えるでしょう。

毛づくろい中やグルーミング後のうっかり舌出し

毛づくろいは猫にとって大切な行動であり、欠かせない日課です。特に長毛種の猫は時間をかけて丁寧に体を舐めます。その過程で舌を出したまま一時的に動きが止まることがあります。
すると、舌が出っぱなしだよ、と言いたくなる可愛いシーンが生まれることがあるのです。

また、食後の満足げな顔、あくびをした直後、水を飲んだ後など、口元を使った行動のあとに、舌をしまい忘れていることもあります。これらはすべて一時的な状態なので、基本的に健康面の心配は不要です。

舌を出しやすい猫種・体質

すべての猫が同じように舌を出すわけではありません。品種によっては、身体的な特徴から舌が出やすい傾向があります。

短頭種

ペルシャ、チンチラ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどは、短頭種と言われます。顔が平らであごが短いため、舌が収まりにくいのが特徴です。

歯が抜けた高齢猫

前歯や犬歯が抜けてしまっている猫は、舌を抑える歯がなくなっています。そのため、舌が出たままになりやすいのです。

舌が長い子、あごが小さい子

品種や年齢に関わらず、個体の特徴として舌が出やすい猫もいます。特に、舌が大きかったり、顎が小さかったりする場合、舌が出やすくなります。

これらは病気ではなく、身体的な特徴です。体の作りによる個性なので、飼い主さんが気にしすぎる必要はありません。

フレーメン反応による一時的な舌出し

猫は特定の匂いに対して変な顔をすることがあります。口を半開きにして、舌が少し見えるような表情です。これを「フレーメン反応」と呼びます。

フレーメン反応は、フェロモンや強い匂いをヤコブソン器官という特別な感覚器官で分析する際に見せるものです。自然な行動なので、心配はありません。飼い主としては少し笑ってしまうような変顔が見られますが、猫にとっては真剣に何かを調査して情報を処理している最中なのです。

病気のサインかもしれない、注意すべき猫の舌出し

呼吸器疾患や心疾患による舌出し

通常、猫は口を閉じて鼻呼吸をしています。口を開けてハァハァと舌を出して呼吸している場合、呼吸の状態としては異常です。

  • 呼吸が浅くて速い
  • 舌や歯茎が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 呼吸時に肩や胸が大きく上下している

これらの症状が見られた場合、猫喘息や肺炎、心筋症などの深刻な疾患の可能性もあります。様子がおかしければ、すぐに動物病院で診察を受けましょう。

口腔内トラブルによる舌出し

猫の口の中に炎症や腫瘍がある場合、違和感や痛みから舌を出したままにしてしまうことがあります。
代表的な口腔疾患には以下のようなものがあります。

  • 歯周病・歯肉炎
  • 口内炎
  • 舌や口腔内の腫瘍

このような疾病がある場合、猫は以下のような行動を見せることが増えます。

  • よだれが多い
  • 口臭が強い
  • 食べたがるのに食べられない
  • 顔を前足でしきりにこする

これらの行動は、口の中の違和感を示しているかもしれません。放置すると痛みが悪化し、食事が取れなくなります。さまざまな病気にもつながりますので、早期発見が大切です。日頃から歯磨きや口内チェックをするのがおすすめです。

よだれを伴う舌出し

舌出しと同時によだれが垂れて出ている場合は、さらに大きなリスクがあります。以下のような緊急性の高い原因が考えられます。

  • 中毒(観葉植物、タバコ、人間の薬など)
  • 異物の誤飲
  • 顎の骨折や外傷
  • 神経系の異常
  • 腎臓疾患や消化器系疾患

猫が普段しないような形で口を開けっぱなしにしていたり、行動に元気がない場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。

神経系異常や中枢神経のトラブル

神経の問題で顎や舌をうまく動かせなくなることがあります。例えば、顔面神経麻痺は、舌が片側に偏って出たり、食べ物をこぼしやすくなったりするものです。

また、猫特有の症状として「Feline Orofacial Pain Syndrome(猫顔面痛症候群)」というストレス性の神経疾患も報告されています。舌を出しながら異常な顔の動きを見せる場合には、この病気の可能性も考えられます。

神経系の異常は進行性のことも多いため、少しでも違和感を覚えたら早めに診察を受けることが重要です。

舌出し行動を見極めるチェックポイント

ここまで説明してきた舌出し行動の種類をまとめると、概ね以下のようになります。

こんなときは様子見でOK

  • リラックス中や睡眠中に舌が出ている
  • グルーミング後や食後の舌出し
  • 短頭種や高齢猫で舌が出やすい体質の場合
  • フレーメン反応中の変顔

これらはすべて一時的、または個体差によるもので、健康上の問題である可能性は低いと考えられます。ただし、違和感がある場合は獣医さんに相談してみましょう。

こんなときはすぐ病院へ

  • 呼吸が苦しそう(浅い、速い、肩で息をしている)
  • 舌や歯茎の色が変(青紫、白っぽい)
  • よだれが異常に多い、口臭が強い
  • 食欲不振、ぐったりしている
  • 顔面の動きに違和感(左右差、痙攣など)

これらは大きなリスクも潜んでいます。迷わず動物病院での診察を受けましょう。

猫の舌出しから分かる健康と気持ち

猫の舌出し行動には、幅広い原因があります。単なる可愛らしい癖や一時的な生理現象なので、心配する必要がない場合が多いでしょう。ただし、深刻な病気の兆候である場合もあるのです。

愛猫の「舌出し」を正しく見極めるためには、その頻度やタイミング、併発する症状などをよく観察することが大切です。何気ない仕草に、猫の本音やSOSが隠れているかもしれません。

日常的な観察と、異変への早期対応が、猫の健康と命を守る第一歩になります。猫が舌を出す理由を正しく理解し、より安心で幸せな猫との暮らしを目指しましょう。

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