猫と暮らしていると、ごつん!と頭突きをしてくるような、頭を押し付けてくるような仕草をされることがあります。この行動は攻撃ではありません。実はこの「頭突き」は、猫の気持ちや本能、さらには健康状態までも表す重要なサインです。人間にとっては少し意外ですが、猫にとっては大切なコミュニケーション方法のひとつなのです。
今回は、猫の頭突きの意味や行動の理由、そしてシチュエーション別の解釈方法を紹介します。また、それぞれへの正しい対応法や注意すべき異常行動である場合についても説明します。
猫が頭突きをする主な理由
愛情表現・信頼のしるし
最もよく知られている理由が、愛情表現です。
猫は母猫とのスキンシップや兄弟猫とのコミュニケーションで、頭突きを覚えると考えられます。顔を擦り合わせたり、頭をぶつけ合ったりするのは、愛情や信頼しているというサインです。
飼い主に対しても、同じように頭突きをしているのです。特に、目を細めながら頭をこすりつけてきたときは、リラックス状態であることを示しています。これは人間にとっての「ハグ」や「キス」と同様、心から信頼している証拠です。
やるやるー!
マーキング(におい付け)
猫の顔には、フェロモンを分泌する臭腺(しゅうせん)があります。頭や頬をこすりつけることで、飼い主や家具などに自分のにおいを付けるマーキングをします。
つまり、猫の頭突きはマーキング行動のひとつです。猫にとって安心できる場所や、信頼できる存在であったり、自分の縄張りであることを示す行動です。
猫のマーキングは、この人は自分の家族であるという主張です。頭突きが可愛く見えてきますね。
やるやるー!
挨拶・コミュニケーション
猫同士は、出会ったときに鼻先を軽く触れ合わせたり、額をこすりつけることで挨拶を交わします。それと同じように、人間に対しても、おはよう、元気?というような感覚で、親しみを込めて頭突きするのです。
特に帰宅時や朝の寝起きの時間帯に頭突きをしてくる場合、これは猫なりの「おかえり!」「会えてうれしい!」という歓迎のサインと受け取って良いでしょう。
要求・甘えたい気持ちの表現
猫は自分の要求を鳴き声や行動で伝えてきます。頭突きもその一つで、「ごはんが欲しい」「トイレを掃除してほしい」「撫でて」「遊んで」などの要望が込められていることがあります。
このような理由からの頭突きは、スリスリや鳴き声、後追い行動とセットで見られることが多いのが特徴です。猫なりのアピールなので、何を要求しているのか考えてみましょう。
自分が優位でないことを認識しているサイン
猫が頭を下げて顔をこすりつけてくるのは、相手を自分よりも上と見なしている際の行動ということもあります。
特に子猫が母猫に、またメス猫がオス猫に見せるものとして知られている行動です。そのため、飼い主への尊敬や信頼が込められている行動だと考えられます。
シチュエーションごとの猫の頭突きの意味

なでているときの頭突き
猫を撫でている途中で頭突きをされたら、それは「もっと撫でてほしい!」というリクエストか、あるいは「もう十分だよ」という終了サインである場合が多いと言われます。
正反対の理由なので、どちらなのか迷ってしまいます。しかし、しっぽの動きや耳の角度など、他のボディランゲージと合わせて観察することで、どちらの意味の頭突きなのか判断可能です。
飼い主が座る・寝転ぶときの頭突き
人間の顔や手が猫の届く高さにあるときは、猫にとっての頭突きチャンスです。額や顎をこすりつけ、お互いの匂いを交換しようとしています。
猫にとって自然な行動であるとともに、警戒感や敵対心がある相手にはしない行動です。愛情や信頼感を表している、好ましい頭突きと考えられます。
鳴きながら頭突きしてくるとき
要求のサインであることが多い行動です。「ねえねえ、ちょっと聞いてよ!」とばかりに、猫が何かを求めていると考えられます。
猫が何を要求しているか、理由を探ってみましょう。ただし、ご飯やおやつの要求などは、過度に応えすぎると癖になってしまうこともあります。要求がわかっても、対応は適度な範囲にとどめましょう。
ご飯欲しい時は鳴きながら頭突きするー!
強めの頭突き(ゴチン!と痛い場合)
驚くほど強い頭突きをする猫もいます。時には痛いと感じるくらいのこともあります。これは、より強い仲間意識の表れかもしれません。多少の興奮状態になっていることもありますが、愛情のテンションが上がりすぎて勢いがついてしまっているような感覚だと言われます。
ただし、攻撃的な動作の場合もあります。その場合は、ストレスや不満が溜まっている兆候の可能性もあるため注意が必要です。
頭突きが強すぎてたまにびっくりされるんですけど、それはぼくの体が大きすぎるか、力が強すぎるだけです!ストレスとかじゃないよ…
頭突きとセットで見られる行動・感情
頭突き+スリスリ
これは猫の愛情が高まっているサインです。最初に頭でぶつかってきてから、さらに頭や顔ですりすりしてきます。気持ちよさそうな顔をしていたら、完全にリラックスしているサインです。
頭突きの後に甘噛み
頭突きをした後でじゃれているうちに、気持ちが高ぶって甘噛みに発展することがあります。軽く噛む程度なら愛情表現のひとつなので問題ありませんが、興奮しすぎて強く噛むようなら、やりすぎであると教えなければなりません。
猫の頭突きにへの飼い主がとるべき正しい対応
優しく応える
猫の頭突きは、多くの場合が愛情のサインです。猫の好意を受け止めて、こちらも優しく撫でたり、声をかけてあげましょう。
長時間構いすぎない
猫はマイペースです。頭突きをしていても、満足すると離れていきます。人の側も、猫が頭突きしている間は適度に構って対応しながら、無理に引き留めたりしないことが大切です。
要求行動に応えすぎない
おやつを欲しがって頭突きをしてくるような場合に、毎回すぐにおやつをあげたり、何度でもおかわりをあげていると、「これをすれば何でも叶う」と誤解してしまうことがあります。
すると、しつこく要求してきたり、大きな声で鳴いたり、噛んできたり、問題行動につながってしまいます。要求には適度な範囲で応えましょう。
しっぽや耳のサインも確認
しっぽをバタバタさせたり、耳が後ろを向いていたら「もういいよ」の合図です。猫が頭突きやすりすりをしてきたから撫でてあげていても、猫が満足した様子を見せたら、それ以上の無理強いは禁物です。
頭突きに見える注意が必要な行動
ヘッドプレッシング
壁や床に頭を押し付け続ける行動は、神経系の異常を示す「ヘッドプレッシング」の可能性があります。頭突きをしているようでも長すぎるように感じたら、問題がないか疑ってみましょう。獣医さんへの相談も有効です。
頭部のかゆみ・皮膚疾患
頭をこすりつける頻度が異常に高かったり、かさぶたや赤みが見られるようになったりしたら、皮膚トラブルのサインかもしれません。かゆいところを押し付けているのです。
皮膚に異常がないか、アレルギーなどの兆候がないか、調べてみましょう。
老猫の視力低下
高齢猫の場合、頭突きではなく単純にぶつかってしまっているだけかもしれません。特に、家具や壁に頻繁にぶつかるようなら、マーキング行動だと思うだけではなく、視力の衰えや認知症も疑いましょう。
まとめ
猫の頭突きには、「信頼」「愛情」「要求」など様々な意味が込められています。一見同じように見える行動でも、背景には猫なりの繊細な感情や習性が隠れているのです。
猫なりの愛情表現であることが多いので、基本的には好ましい行動です。ただし、問題行動につながる場合も、何かの異常を示している場合もあります。
猫のしぐさをよく観察し、その意味を理解してあげましょう。猫との関係をもっと深めるだけでなく、病気や問題に素早く気づくヒントにもなります。

