猫の飼い方

キャットフードの種類。目的、ライフステージ、形状などによる分類

人に飼われている猫のほとんどは、主にキャットフードを食べて暮らしています。猫にとって必要な栄養素がバランス良く含まれていて、保存性やコストの面でも優れているためです。

猫のために手作りのフードを用意する飼い主もいますが、猫に必要な栄養素は人とは異なります。また、人にとっては美味しい食材でも、猫にとっては毒になるものも多くあります。そのため、一般的には難しくリスクも高い行為だと言えます。

そこで、信頼できるキャットフードを選ぶことが大切になります。キャットフードのメーカーの中には、大きな費用をかけて猫の健康や長生きのための研究をしている会社もあります。

とはいえ、キャットフードの種類は膨大です。どれがうちの子に最適なのか、選ぶのも大変です。この記事では、キャットフードの種類について、いろいろな角度から説明します。

キャットフードとは

代表的なキャットフードの定義は、2種類あります。

まず、景品表示法に基づいて、ペットフード公正取引協議会が設定し、消費者庁と公正取引委員会が認定した規約です。

ここでは、

  • 食べ物を犬か猫用に加工したもの
  • 一般消費者向けのもの

とされています。

犬と猫向けのものに限定されているのは意外ですが、一般消費者向けのものなので家畜向けのフードなどは含まれません。

そして、ペットフード安全法では、

  • 愛がん動物の栄養に供することを目的として使用されるもの

とされています。

こちらでは、犬と猫以外の飼われている動物用のフードや、例えば生肉などの加工されていないものも含まれることとなります。

これらの定義から考えると、キャットフードとは、「飼われている猫の栄養になる食べ物」となるでしょうか。

栄養のためでなく純粋に楽しみのために与えられるまたたびがキャットフードに含まれるか、キャットフードは野良猫のためのものとはいえないのか、いくつかの疑問は浮かびますが、今回は深く考えずに先へ進みます。

(参考)
迫田順哉(2022)「ペットフードの種類と加工」ペット栄養学会誌25(1)pp.11-25

キャットフードの分類1:ライフステージ

この記事では、キャットフードの定義を「猫の栄養になる食べ物」としました。

ただし、猫が必要とする栄養素は、ライフステージによって異なります。そのため、キャットフードは対象とするライフステージによって分類できます。

ライフステージとは、主に年齢で分けられます。

  • 哺乳期:生まれて4〜5週頃までの子猫
  • 離乳期:生まれて4〜5週から8週ころまでの子猫
  • 成長期:離乳期以降、1歳ころまでの子猫
  • 維持期:1歳以上の成猫
  • 妊娠・授乳期:妊娠中から子猫を産んで2ヶ月ころまで
  • 高齢期:11歳ころから
  • 老齢期:13〜14歳ころから

これらのライフステージそれぞれに適したキャットフードが製造・販売されています。上記のような◯◯期用と書かれているのではなく、◯歳から◯歳用と書かれているフードが多いようです。また、7歳〜12歳、12歳以上などと、上記のライフステージの分類とは別の年齢期間向けのフードも多くあります。

そして、療法食や特別療法食と呼ばれる、疾病用のキャットフードもあります。年齢による分類ではありませんが、ライフステージのひとつと考えられます。

(参考)
大島誠之助(2014)「ペットフードの種類と加工」ペット栄養学会誌17(2)pp.93-95

キャットフードの分類2:使用目的

キャットフードは不当景品類及び不当表示防止法において、使用目的別にも分類されています。そこでは、以下の3種に分けられています。

  • 総合栄養食
  • 間食(おやつ又はスナック)
  • その他の目的食

また、公正競争規約・施行規則解説書では、4つに分けられています。

  • 総合栄養食
  • 間食
  • 療養食
  • その他の目的食

総合栄養食

総合栄養食は、毎日の主要な食事として与えることを意図して作られているキャットフードです。つまり、猫に必要な栄養素が網羅されているフードと言えます。ほとんどがドライフードです。

総合栄養食の表示をする場合には、幼猫・成猫などのライフステージの表示をすることが定められています。また、栄養基準を満足させられる量などの与え方も明示しなければなりません。

なお、ライフステージに関わらず与えられるオールステージ(全成長段階)用の総合栄養食もあります。この場合は、各成長段階ごとの必要な栄養素を満たす与え方が明示されています。

間食(おやつ又はスナック)

間食、おやつ、スナックなどに分類されるキャットフードは、楽しみとして与えたり食べたりすることが想定されているものです。これだけでは猫に必要な栄養素を満たせません。そのため、総合栄養食と間違えてしまうような表示は禁じられています。

また、おやつを1日に与える量の上限は、猫の1日当たりのエネルギー要求量の20%以内が目安です。商品にもその量が表記され、飼い主が与えすぎるのを防ぐよう配慮されています。

療法食

療養食はペットフードの表示に関する公正競争規約において、当該療法食が適用される猫の疾病や健康状態を記載する、と定められています。総合栄養食のように栄養基準は示されていないので、総合栄養食という表記はされません。

とはいえ、必要な栄養素が取れるキャットフードが多くなっています。獣医師さんと相談しながら与えるのが基本です。

療養食は特定の病気などに対応した栄養バランスで作られているキャットフードです。食物アレルギーや糖尿病のような慢性的な病気から、大腸炎や手術からの回復のためのような一時的な目的のものまで、さまざまな療法食が用意されています。

代表的な分類は以下の通りです。

  • 慢性肝機能低下
  • 下部尿路疾病(尿石症)
  • 食物アレルギー又は食物不耐性
  • 消化器疾病
  • 慢性心機能低下
  • 糖尿病
  • 慢性肝機能低下
  • 高脂血症
  • 甲状腺機能亢進症
  • 肥満
  • 栄養回復
  • 皮膚疾患
  • 関節疾患
  • 口腔疾患

(参考)
大島誠之助(2022)「ペットフードの種類 その16」ペット栄養学会誌25(2)pp.127-132

その他の目的食

総合栄養食と間食に含まれないキャットフードもあります。主な種類は以下の通りです。

一般食

おかずや副食などと表示されるものです。総合栄養食と一緒に与えるものです。食欲を刺激したり、味や香りを楽しんだり、いくつかの目的があります。

缶詰、プラカップ、レトルトパウチなどの形状の、ウェットタイプのものが多くなっています。

栄養補助食

主食では取りにくい栄養素を含んだ食品です。サプリメントと表記されているものもあります。

人のサプリメントと同じく、健康食品のような位置付けです。形状も、粉末や常在的なものが多くなっています。

カロリー補給食

流動食など、固形の食べ物が摂取しにくい猫に与えるためのものです。
液状のものや、チューブに詰められた形状のものがあります。

(参考)
大島誠之助(2015)「ペットフードの種類 その2」ペット栄養学会誌18(1)pp.59-61

キャットフードの分類3:形状および製法

主なキャットフードは、いわゆるカリカリ(ドライフード)とシメシメ(ウェットフード)に分けられます。ただし、さらに正確に分けると以下の5種類になります。

  • ドライフード
  • ウェットフード(缶詰、レトルトパウチ詰、アルミトレイ詰、プラスチックカップ詰など)
  • セミモイストフード、ソフトモイストフード、ソフトドライフード
  • スナック・トリーツ
  • その他

ドライフード

ドライフードとは、いわゆるカリカリです。フード中の水分が10%前後になっているものを指します。殺菌できることもあり、保存可能期間が長く扱いやすいことが特徴です。

ただし、ドライフードは基本的に総合栄養食です。おやつ類も多くは水分が低くされていますが、それらはスナックなどに分類されることが多くなっています。

ドライフード用の原料は、基本的に保管中に腐敗やカビの発生をなくせるよう、低水分のものが用いられます。とはいえ、使えるものが限られているということはありません。穀物、肉類、魚介類、豆類、野菜類など、幅広い原料で作られています。また、ビタミン類やミネラル分が加えられることもあります。

ドライフードの優れている点には、これらがあります。

  • 大量生産でき、それに伴い製造原価も安くできる
  • 多様な原料が使え、多様な栄養を加えられるので、総合栄養食が作りやすい
  • 重量あたりの栄養密度が高いので、輸送や梱包にかかるコストも低くなる

逆に、このようなデメリットもあります。

  • 缶詰などの水分の多いフードの方が嗜好性面では優れていることが多い
  • 使用原料がわかりにくい

ドライフードの形状で分類すると、以下のようなものがあります。

  • 粉末タイプ(授乳期の粉末ミルクなど)
  • フレークタイプ(離乳食など)
  • 顆粒タイプ(一般的ないわゆるカリカリ)
  • クランブルタイプ(牛乳などをかけて柔らかくして食べるのを想定したもの)
  • フリーズドライタイプ(フリーズドライのささみやおかかなど)
  • 食用素材乾燥タイプ(煮干しなど)

(参考)
大島誠之助(2015)「ペットフードの種類 その3」ペット栄養学会誌18(2)pp.117-120

ウェットフード

ウェットフードは、名前の通り水分が多く含まれているキャットフードです。概ね水分含量60%以上のものがウェットフードとされます。

水分量が多いフードは腐敗するのが早いというデメリットがありますが、缶詰やパウチなどの技術の向上によって保管が可能となり、利便性が増したことで使いやすくなりました。とはいえ、封を開けてからの保管可能期間は長くはありません。

そのため、猫に与える際にも衛生管理が比較的難しいのですが、フードから水分を摂取してもらえるという大きなメリットもあります。

また、生に近い原料の方が香りや食味が優れていることも大きな特徴です。技術の向上により、ドライフードに近い多様な原料も使えるようになりました。

とはいえ、ドライフードとウェットフードのどちらを好むかは猫によって差があります。味や香りの強さだけで決まるものではありません。

主原料では、魚介類と肉類が半々程度になっています。どちらも動物性タンパク質です。魚介類としてはカツオとマグロが多く、サーモンも見られます。肉類はササミ、チキン、ターキー、ポークなどが多くなっています。

(参考)
大島誠之助(2020)「ペットフードの種類 その11」ペット栄養学会誌23(1)pp.29-35

セミモイストフード

含まれる水分が15%から30%程度のものがセミモイストフードとされます。形状や性質もドライフードとウェットフードの中間です。比較的柔らかく、比較的水分も摂れるため、猫の好みや年齢などによってちょうど良いフードになることがあります。

ドライフードのように乾燥させるわけではなく、ウェットフードのように殺菌装置を用いるわけではないので、防腐剤などが使われることもあります。これが一部の飼い主に避けられることもありますが、ペットフード安全法によって基準が厳密に定められているので安全です。

形状には以下のようなものがあります。

  • パテタイプ(肉類を砕いてパテにしたもの)
  • チャンクインローフ(パテに肉の塊を加えたもの)
  • チャンクイングレイビータイプ(チャンクと肉汁を混ぜたもの)
  • シチュータイプ(肉類、野菜、豆、牛乳などを煮込んだもの)
  • 肉付き鶏肉

その他

その他のフードは多種多様です。主なものとしては、栄養を摂取するためのもの、サプリメントのようなものがあります。粉末ミルク、毛玉対策用のチューブ詰フードなどが含まれます。非常に種類が多いので、利用目的に合わせて選びたいフードです。

形状としては、以下のようなものがあります。

  • ジャーキータイプ
  • ケーキ・パンタイプ
  • 食用素材乾燥タイプ
  • チューブ詰めタイプ

(参考)
大島誠之助(2016)「ペットフードの種類 その4」ペット栄養学会誌19(1)pp.40-45

その他のキャットフードの分類や名称

キャットフードも常に新しい商品が開発されています。すると、新しい分類や、聞き慣れない名称が生まれることがあります。以下ような例があります。

室内飼育用フード

猫は完全室内飼育が基本なので、あらためて室内飼育用とつける必要はないかもしれません。しかし、室内飼育用フードとされているものがあります。

これは、従来からのドッグフードの分類と関わっているようです。犬は屋外で飼われることが多かったため、室内飼育が増えるに従って室内飼育用フードが普及しました。室内飼育では消費エネルギー量が少なくなるため、それに合わせて作られるようになったのです。

そのため、キャットフードでも室内飼育用とされているものは、カロリーが控えめになっています。ダイエット対策ができるキャットフードと考えても良いでしょう。

(参考)
大島誠之助(2017)「ペットフードの種類 その6」ペット栄養学会誌20(1)pp.75-77

アソート

アソートとは英語のassortのことで、組み合わせや詰め合わせといった意味です。キャットフードの場合、味や素材の異なる複数のフードの詰め合わせが多くなっています。

例えば、同じブランドのおやつで、チキン、カツオ、ササミの3種類が小袋に分けられて詰め合わせになっている、といったようなものです。また、総合栄養食ではなく、おやつに該当するフードが多くなっています。

味の好みがはっきりしている猫はアソートよりも単一のものを買った方が良いのでしょうけれど、何が好きか分からなかったり、気まぐれなことが多かったりする場合は、アソートが便利です。そのためか、気軽に買えるスーパーなどでもよく売られています。

(参考)
大島誠之助(2017)「ペットフードの種類 その7」ペット栄養学会誌20(2)pp.163-165

ローフード

ローフードとは、英語のraw foodで、生の食べ物を意味します。人にとってのローフードは、肉や魚に限らず、野菜なども含まれます。生で食べることで、植物元来の酵素や栄養素を摂取できると考えられることもあるようです。

ペットフードの場合、生肉を使用して熱を使った調理をしていないものが該当します。完全に生の食材というわけではなく、冷凍されて売られているものや、フリーズドライ製法や高圧殺菌により保存性を高めたものもあります。

嗜好性が高く、食いつきが良い場合が多いようです。また、無添加で健康に良さそうというイメージや、猫は本来は野生動物の生肉を食べていたというイメージから、ローフードを与える飼い主もいます。

ただし、ドライフードに比べると日持ちしないため、衛生管理が難しく食中毒などのリスクが高いことがデメリットです。

(参考)
大島誠之助(2018)「ペットフードの種類 その8」ペット栄養学会誌21(2)pp.111-113

トッピング

トッピングとは、飾りや付け足されたものを言います。食べ物であれば、主な食材や基本となる料理に加えられるものが思い浮かびます。

キャットフードでも同様です。通常のドライフードやウェットフードに少し食材を足した場合に、トッピングという名称が使われるようです。

とはいえ、人の食べ物のトッピングのように、上に乗せられることは多くありません。トッピング入りとして、鰹節やカニカマなどが混ぜられているものが多くなっています。これによって高級感を出したり、実際に味が足されることで食いつきが良くなったり、といった効果を狙っているのでしょう。

また、通常のドライフードにふりかけて使うことを想定しているササミや鰹節を細かく砕いたものもあります。こちらは純粋はトッピング専用のキャットフードと考えられるでしょう。

(参考)
大島誠之助(2019)「ペットフードの種類 その9」ペット栄養学会誌22(1)pp.41-44

ミルク

猫用ミルクは、何らかの理由で母猫から母乳がもらえない子猫や、多くのご飯を食べられなくなった高齢猫に与えることが主に想定されています。猫は乳糖を消化する酵素が足りないため、牛乳をそのまま飲ませてはいけません。そこで、乳糖対策をした猫用ミルクが開発されているのです。

子猫や高齢猫といった、栄養素を摂らせたい猫が対象なので、サプリメント的な栄養素が加えられているものも多くなっています。

(参考)
大島誠之助(2019)「ペットフードの種類 その10」ペット栄養学会誌22(2)pp.122-125

うちの猫に適したペットフードを選びましょう

キャットフードは、猫に必要な栄養を効率よく提供するために開発された食品です。猫を飼う際の非常に大きな助けになります。

キャットフードはさまざまな視点ごとに、いろいろな種類に分けられます。目的やライフステージ、形状・製法によって多岐にわたります。主な分類には「総合栄養食」「間食」「療法食」「補助食品」などがあり、それぞれに適した与え方が定められています。

また、年齢や健康状態に応じたフードの選択や、ドライ・ウェット・セミモイストなどの形状による使い分けも重要です。最近では、ローフードやトッピング、アソートなど、嗜好性や栄養補完を重視した商品も増えています。

猫の健康と幸福を守るためには、信頼できる製品を選び、猫のライフスタイルや体調に合ったフードを見極めることが大切です。

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